2012年5月21日月曜日

移転のお知らせ

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Sucker For Soccer
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2012年5月5日土曜日

【五輪代表】 OA込みで選出する五輪代表試案。




五輪まであと一ヶ月少しと迫り、予選組み合わせも決定した中、サッカーブログ界隈もにわかに活気づいて来ました。かくいう私もそんな状況の中でそわそわし始めた人間の一人であり、もし仮に自分が五輪代表監督ならどう戦うかという妄想に余年がなく、ここでそれを形にしたいなーと思います。

 本題に入る前に言っておきたいのが、私の試案では大幅に予選メンバーとは入れ替わりを見せますが、そこに関しては何ら危惧する所はありません。といっても、それは不幸中の幸いといったところで、要するに現行のメンバーは仲良し度とかはともかく、戦略的ノウハウの共有量の蓄積はほぼ皆無に等しいのであり、そこに戦術理解の高い選手が入れば、新たに規律を作りだせるからです。この辺に関しては、武藤文雄氏は「インテリジェンス皆無のサッカー」とまで形容していますが、だからこそ共有されたインテリジェンスが皆無に等しい分、新しい選手でもスッと入れるはず、ということです。

 さて本題に入ると、まずはじめに大きなポイントは、オーバーエイジに誰を使うか、という以前にそもそもその枠を使うのか?という所だと思います。断言しますが、私は使用推奨派です。OA無しで臨んで玉砕した後に数多くの選手が欧州へと羽ばたきフル代表の中核を占める2008年北京五輪関塚ジャパンのことを思えば、確かに不使用派の意見も一理あるな、という感じですし、逆にシドニー五輪で躍進したいわゆる"黄金世代"が(日韓はさておき)ドイツであのザマだとすれば、更に積極性を増してくるかと思います。だけれど、挫折の経験であれ、躍進の経験であれ、結局はそれを糧にするかどうかは個人次第だと思いますし、何よりも結局その後のフル代表が躍進するかいなかはハッキリ言うと監督次第、もっというと戦術次第です。たとえば北京での挫折を知ったメンバーが中心の南アフリカW杯でも、(今の五輪代表のように)戦術的にノープランで戦っていたら玉砕していた所でしょう。その程度のものとしか私は考えていません。くわえて、OAの選手にフル代表の中心級を呼ぶことで、いったい何がどう違うか、ピッチ上で肌に感じることが出来ます。これが僕は非常に大きいと思う。


 さて、では、前置きこそ長くなりましたが、じゃあ誰を選ぶか?ということになってきます。基本的には定石通り、センターラインにガッツリとフル代表の中心選手を並べるのがいいと思う。まず遠藤保仁。最近はJのプレーを見ていても精細を欠く感は否めないけれど、それでもやっぱり、山村和也はいうまでもなく、山口螢や扇原貴宏には無い熟練の駆け引きが出来る。もしどうしても遠藤の調子が上がってこないようなら、私なら柏レイソルの茨田陽生(ばらた・あきみ・20歳)や柴崎岳を呼んで、バランサー的ボランチのオプションを沢山持ちたい。というのも、どう考えても現行U-23は個人技頼みすぎる所があるからです。で、次にFWは前田遼一。私はこのブログにおいて再三再四彼を大絶賛していますが、これといったセンターフォワードがいない五輪代表では間違いなく重宝します。競ってよし、走りまわってよし、打ってよし、収めてよしの彼のプレーを間近で見ることで、特に大迫勇也などは発奮するものがあるのではないでしょうか。最後にセンターバックにも一人。これがかなり難しい。まず今野泰幸ですが、彼も遠藤同様にあまり状態が上がってこない。次に吉田麻也。これは結構現実的なラインで、年代的にはちょうどスペインのフアン・マタ等と同じで、23歳なんだけれども五輪にはギリギリ出れないラインで、年代的な親和性がある。今までのフル代表の最年少グループとしてではなく、今度は年長組としての発奮も期待できる。ただ、彼らを差し置いて、ガチで勝ちに行くためのチーム作りを優先するならば、僕なら田中マルクス闘莉王を呼ぶ。CBとしての能力も高く計算できるし、フィードも上手い。でもそれ以上に、一番デカい声を出しそう笑。誰かが喝を入れなければならない苦しい場面で、しっかり叱咤できる。プレーだけではなく、精神的にもファイトする姿勢を見せられるから、精神的支柱不足感のいなめないU-23ではすごくいい刺激になる。

 ということで、OAの話が長くなりましたが、色々含めて私がU-23代表の19人を選出するなら以下になります。

  ■FW

  • 前田遼一 (ジュビロ磐田)
  • 大迫勇也 (鹿島アントラーズ)
  • 永井謙佑 (名古屋グランパス)
  ■MF
  • 遠藤保仁 (ガンバ大阪)
  • 香川真司 (ボルシア・ドルトムント/独)
  • 宮市亮  (ボルトン・ワンダラーズ/英)
  • 大津祐樹 (ボルシアMG/独)
  • 東慶悟  (アルビレックス新潟)
  • 清武弘嗣 (セレッソ大阪)
  • 山口螢  (セレッソ大阪)
  • 扇原貴宏 (セレッソ大阪)
  ■DF
  • 田中マルクス闘莉王(名古屋グランパスエイト)
  • 酒井宏樹 (柏レイソル)
  • 酒井高徳 (VfBシュツットガルト/独)
  • 吉田豊  (清水エスパルス)
  • 濱田水輝 (浦和レッドダイヤモンズ)
  • 鈴木大輔 (アルビレックス新潟)
  ■GK
  • 権田修一 (FC東京)
  • 増田卓也 (サンフレッチェ広島)
 以上が私の選ぶ19人になります。かなり悩んだのが、ユトレヒト/蘭で活躍する高木善朗。パパは現横浜DeNAベイスターズコーチ、兄弟はみなプロサッカー選手の彼。正直言うと、東慶悟の上位互換のような気もしなくはないのですが・・・。まあ彼にはもう4年後もありますし、そちらに期待ということで。あと改めて驚かされるのは、吉田麻也もそうですが、88年4月~89年3月組の人材の豊富さですね。麻也にくわえて、山田大記(ジュビロ磐田)、太田宏介(FC東京)、あと森本貴幸(ノヴァーラ/伊)なんかもそうで、スペインU-23のように年代的に近いということでこの一つ上の学年をOAとして加えたチームを作ってもかなり面白そうではあります。さて、それはさておき、上記のメンバーを実際に並べてみると次のようになります。




 全体的に2010-2011のボルシア・ドルトムントに近い戦い方になるかと思います。前線で体を張ってボールを収めるルーカス・バリオスの仕事を前田が、ボールを的確に配給しゲームを作るのが遠藤。香川は去年の香川で、ビルドアップのために低い所からスタートするよりは、常に危険な動きを見せるシャドーのような働きで。更に両SBとCBにビルドアップ能力の高い選手を置いて、どこからでも攻撃を始められる陣形に。ただちょっと怖いのが、宮市を先発にすると裏のスペースをオーバーラップしてくるサイドバックと奪い合う形になることで、両SB共に攻撃参加意志の高い選手をおいてるのでそこだけ余計に怖いです。もしかすると、先発を宮市にするよりは、東や大津のほうがいいのかもしれない。そして後半の両SHに宮市と永井を投入してバンバン走らせるような形。
 さて、いかがでしょう?私はこれが今持っている中での正着手だと思うのですが。ご意見などありましたら、どうぞお気軽にお願いいたします。

2012年3月5日月曜日

【A代表】ザックジャパン最悪の試合 日本-ウズベキスタン

日本 0-1 ウズベキスタン




ホームで迎えた3次予選最終戦。既に最終予選進出は決定しているものの、くじびきなどを考慮しても負けてはいられない1戦に、多忙を極める海外組を揃えたザックジャパン。ホームで迎え打つはアウェーで苦戦したウズベキスタン。リベンジを果たすには絶好の機会だが・・・?


2012年1月9日月曜日

【ユース年代】 高校サッカー決勝 市立船橋-四日市中央工業

市立船橋
20-1
1-0
0-0
1-0
1
四日市中央工


結論から申し上げるならば、正直な話、四中工は勝てた試合だったと思います。市船が強かったというよりは、四中工のゲームプランの無さのせいで負けたような試合だったのではないかと。もちろん、両監督とも、決勝まで残る素晴らしいチームを創り上げたのは敬意を払われてしかるべきだと思いますし、おそらく彼らでなければ決勝に残るチームを創り上げることは不可能だったでしょう。しかし、四中工の監督は「決勝に残れるチーム」は作れても「決勝で勝てるチーム」は作れなかった、それに尽きるかと思います(一介のブロガーにここまで言われるのも癪だとは思いますが・・・)。といっても、四中工サイドの采配ばかりが疑問だったかというとそうでもなく、むしろ市船の采配こそ狙いが読めないもので、立ち上がりに先制してしばらく経ってから「これは普通にやってれば四中工の勝ちだ」と確信したものでした。

さて、決勝の舞台まで残るチーム同士ですから、当然ながら選手個々の能力は高く、ボールをもって仕掛けていく時の迫力は両チームとも素晴らしいものがありました。ただ、はじまってみれば、当初は市船のゲームプランのほうが、はっきり言うと最初から不明瞭だったように思います。4-3-3という、サイドを広く使い縦方向にコンパクトにキープして戦うべきフォーメーションを採用していながら、CFの大きな選手に向かって蹴り出す放り込みサッカーを行うという、一般的なセオリーからすれば疑問符の残る攻撃展開を中心に行い、当然ながら全く機能しない。CFの大きな選手に当ててそこからセカンドボールを拾って攻撃を展開するのならば、2トップにして電柱役1人、衛星、もしくはシャドー役1人とするのが定石で、CFが中央で構え、両サイドウィングが有機的に絡むことを想定した3トップで狙うべき戦術ではない。しかもCFの長身9番は競り合い自体は下手ではないけれどヘディングの技術もしくは意識が極端に低く、くわえてサイドに流れてボールを受けたがるというミスマッチな性質を見せていました。頑張ってロングボールをCFに当てても、3FWの残り二枚はサイドに開いていますし、押し込まれ気味の中では3MFも高い位置を維持できない。結果としてセカンドボールがことごとく四中工に渡ります。また、市船の9番とマッチアップしていた四中工CBの危機察知能力が非常に高いことも市船にとっては不利に作用していました。こういった理由から、はっきり言うと市船の攻撃はチグハグで、たとえ四中工の開幕ゴールがラッキーパンチだったとしても、追加点が入るのは時間の問題だと思ったのですが・・・。

しかし、サッカーというのは、早めの先制点というのは中々ポジティブに作用するばかりのものではありません。早く先制点を取らないと追いつかれて苦しくなる、そのまま勢いにのった相手に置いてけぼりにされる恐れがある・・・etc。試合が始まって間もなくから残り時間を意識しながら戦わなければならないというのは、非常に苦しいものです。当然、ピッチ上でゲームプランを練りながら攻撃や守備に緩急を付けられる老獪なボランチなどもいませんから、ピッチ上の四中工の選手達としては「早く追加点を決めて突き放しにかかる」という所に向かっていくことになります。幸い、前述の通り市船の攻撃はチグハグですから、一生懸命跳ね返してさえいればいい。ただ、攻撃プランの迷走っぷりとは対照的に、市船はディフェンスは割と組織立っていて、ボールを奪われるとすぐにプレッシャーを寄せてくる。四中工としては、プレッシャーの弱いサイドに逃げつつ、8番と18番という個人突破力の秀でた選手が上手く縦に抜けて幾度と無くチャンスメイクしていきますが、なかなか中央のバイタルには侵入できない。ただし、攻めている間は失点する恐れも少ない。先制点のおかげで、さして攻撃に人数をかけず、市船の縦ポンに備えながらも鋭い攻撃を見せながら前半終了。今思えば、ここが一つのターニングポイントだったのかもしれません。すなわち、リスクを背負ってでも前がかりになって追加点を狙いにいくべきだった。



采配によって"仕掛け"るのが上手い監督、ヘタな監督というのが当然ながらいますが、名将と呼ばれる人たちはやはり上手く采配できるというのは必須条件のように思えます。後半は、時間が経過するにつれてスコアがどう変動していくかにもよりますが、基本的に両チームのパワーバランスに大きな変動(怪我やレッドカードによる退場者など)が起きないと予想される以上、膠着状態に近いゲームを決めるのは監督の采配だろうと思って見ていました。特にセンシティブな采配が要求されるのは状況的には四中工のほうで、早い段階での先制点のせいで逆に時間の経過が遅く感じられるなかで、セカンドボール拾いに奔走しオーバーラン気味の中盤をどうやってケアしていくか、という点が見物でした。特に、累積警告で出場できないキャプテンにかわって出ていたボランチの選手の献身ぷりは目を見張るものがある一方で、彼を中心に中盤がバテかけた時に素早くカードを切れるか、という点がこの試合の行方を占う一つの鍵だとハーフタイム中に私は考えていました。要するに、四中工にしても市船にしても選手は実力以上のパフォーマンスを見せ続けていたわけです。そうなってくると、試合を決めるのは、当然ながら、采配ということになります

両チームとも選手変更なしで後半スタート。立ち上がり、縦ポンを減らし繋ぐ意識の増えた市船の攻撃のテンポが徐々に良くなっていきます。ハーフタイムにそういった指示があったのでしょうか、だとすれば、あの前半の中盤省略サッカーはピッチ上の選手の独断というわけになりますが、真相はわかりません。4-3-3はサイドをワイドに使いつつ、縦に圧縮したサッカーで、両SBのオーバーラップを含めた緊密な距離感を維持しつつポゼッションしながら全体が前に推進して攻めていくサッカーですので、フォーメーション的にはこれで良いわけです。しかし、四中工もこれを根気強く跳ね返す。特に前半から獅子奮迅の活躍であるCB3番を中心に、何度攻めこまれても跳ね返し、自慢の両SHにボールを繋いで鋭い逆襲を仕掛けていきます。
そうやって一進一退でスコアの変動の無いまま、徐々に痺れを切らした市船は、焦りからかまた中盤を省略してロングボールを多用する戦術に移行していきます。これが前半と違ってこたえるのは、四中工の中盤も徐々に摩耗しはじめているからで、徐々にセカンドボールを市船が拾うようになり、4-3-3で放り込みサッカーという謎のスタイルが機能しはじめます。ただ、戦術的には前半と一緒ですから、対策も前半と一緒で、よく走るダイナモを中盤やディフェンスに投入して後ろのほうのディフェンスを再活性化するだけで市船の放り込みサッカーを無効化できるわけですが・・・なぜかそれをする気配がまるでない。対照的に市船はウィングにスピードのある選手も投入。だいたい後半30分ぐらいから四中工の足が止まり始め、それを好機だと捉えた市船はどんどんロングボールを後ろから投入し続け、セカンドボールを拾い、足の速い両ウイングに繋ぐ、まさに死人に鞭打つような攻撃を展開。それでも本当に「気力」だけで跳ね返し続けていた四中工ディフェンスですが、徐々に跳ね返すラインは後退し、遂には何本も連続でコーナーキックに逃げるしかなくなってくる。そこで後半46分の同点ゴール。アディショナルタイムが2分の中で、1分まで耐えた選手たちはむしろ良くやったと思います。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とは野球の野村監督の言葉ですが、まさにその言葉の通りだと思って見ていました。試合はこのまま延長戦に入るわけですが、監督がとんでもないモチベーターで、選手全員が復活する一言を掛けるか、もしくはアントラーズ・本山雅志のような切り札でも残していない限り、四中工に勝ちはないと確信した瞬間でした。それでもここまで来たのだからと、息を吹き返したように、ネジを巻きなおして延長前半を戦い抜いた四中工ですが、さすがに延長後半6分には勝ち越し点を決められてしまいます。最後決めたのは市船の10番ですが、ペナルティエリア内ですら四中工の選手は足が止まって追いつけずにマークに手がまわり切らず、まるで振り回されるように、蹂躙されるかのように、上手く入れ替わって撹乱していく市船攻撃陣に遊ばれていたかのようでした。

私がここまで言うのは、一人の視聴者として見ていた時に、四中工の選手たちが本当に不憫でならなかったからです。なぜ前半から獅子奮迅の働きで相手の攻撃を跳ね返し続けてきたディフェンス陣にテコ入れをしてやらなかったのかと。なぜ止まった足を更に動かす選択をしたのかと。選手たちは監督に感謝している、と述べるでしょう。勝負師は、勝負の重圧を全身に感じるその場にいない者からとやかく言われる理不尽さがあり、その孤独が辛いと嘆くでしょう。私だって、その孤独がまるで想像できないわけではありません。しかし、それでも、あのゲームプランは、ピッチ上で動けなくなるまで走っている選手たちにとって、あまりにも、あんまりだったと、そう言わざるを得ないように思います

最後に。「高校サッカーはレベルが低い」「所詮部活レベルでJユースとは格が違う」という話は、僕もあまり的を射ているとは思いません。現に、本田圭佑や、長友佑都のような、部活上がりの選手が世界に羽ばたいている現状を見るかぎり、部活サッカーとJユース育成は互いに補いながら日本サッカーの人材レベルの向上に寄与していると思います。ただ、その一方で、日本の指導者サイドの戦術意識の低さが指摘され続けているのは、やはり看過されるべきではないと再認識するに至りました。戦術やゲームプラン次第で、選手達の苦労が100倍にも100分の1倍にもなるのだということは、もう少し認識されてもいいのではないのでしょうか。たかがブロガーにここまで言われるのは、現にサッカーの最前線におられる方にとっては不愉快かもしれませんが、そんな事を、あまりにも妥当性を欠いた試合運びで両チームが「譲り合い」をする決勝戦を見て強く思った試合でした。