日本 0-1 ウズベキスタン
ホームで迎えた3次予選最終戦。既に最終予選進出は決定しているものの、くじびきなどを考慮しても負けてはいられない1戦に、多忙を極める海外組を揃えたザックジャパン。ホームで迎え打つはアウェーで苦戦したウズベキスタン。リベンジを果たすには絶好の機会だが・・・?
■どこから突っ込んでいいんかわからん試合や・・・
非常に私事から今回始めさせていただきますと、私自身いまあっちゃこっちゃ行ったり来たりの状況が多く、家に帰ってもほぼ寝るだけという状態が続いていまして、この試合に関しても見れたのが実は数日前、弟が録画しておいたものをたまたま明け方早く目が覚めて薄暗がりのリビングで観るという状況だったので、随分とエントリが遅れてしまいました。で、第一の感想はというと、もう表題通り、何を言えばいいのかわからない、どこから突っ込めばいいのか検討がつかないという状況。苦戦した試合のほうが収穫は大きいのは言うまでもありませんが、それにしても非常に頭を抱えさせられるゲームでしたので、それでなかなか気乗りしなかった、というのもあります。ただ、課題点はシンプルなので、あとはそれを上手く整理して紐付けることさえ出来れば、非常に実りある観戦記にもなるのではないか、と重い腰をひとりでに持ち上げて記事を書き始めた次第です。
■復習:これまでの日本代表の試合のつくりかた。
小さい画像で忍びないですが、手前万歳してるのがうっちー。 |
さて、フォーメーションを詳しく見ていきますと、本田の不在もあり、ドルトムントで好調を維持している香川をそのまま主戦場のトップ下にいれて、岡崎を普段の香川の位置に。また、右サイドには直前の親善試合で結果を残した藤本淳吾をいれて臨んでいます。で、注目のCFにはオランダでもそこそこの結果を残しつつあるハーフナーを先発起用。個人的には、このチョイスが今回の悪い意味での決め手になったのかな、と思います・・・。
■みんな、出来ないことは出来ません。
さて、失礼ながら槍玉にあげさせてもらった上記の選手ですが、端的に言うとそれぞれゲームプランにハマってなかった。まず、ハーフナーについて。この選手は、8-0という大勝利を収めたタジキスタン戦で鮮烈デビューした選手です。そのタジキスタン戦を思い起こしてみると、サイドの攻防では勝てないと踏んだタジキスタンが中央を固める戦略を取り、結果サイド無双してその勢いでやや中めも制圧し、ハーフナーの頭にあてまくったというのが真相です。つまり、サイドである程度覇権が取れそうな時こそハーフナーの高さは使えるのであり、今回のようにサイドが取れるかわからない状況では、ある意味大博打だったと言えるわけです。また、ドルトムントの試合を見ていればお気づきの通り、トップ下に香川が入った場合、香川はビルドアップを助けるためにやや低い位置に入りボールを受けます。そこで空いたスペースにCFのレヴァンドフスキなりバリオスなりが入って楔(縦パス)のボールをCBやボランチから受けて攻撃を加速させるという動きがあります。ドルトムントのスピーディーな攻撃は、何も香川一人によって立つものではありません。場合によっては、香川を通り越してレヴァンドフスキに当てることで展開していくという選択も大いにありますし、香川を経由するか、直接レヴァに当てるか、という2つの使い分けこそが相手を混乱させる大きな要因の1つです。当然、トップ下に入った香川はドルトムントでの仕事が評価されてだろうということで低い位置でビルドアップに参加しようとしますが、ハーフナーはそういった動きに慣れていない。相手を背負って足元で一旦ボールを受ける意識の高い選手ではないし、またそういった技術にも長けていないということです。よって、今回のハーフナーのスタメンはミスチョイスだと言わざるを得ません。では、日本で誰ならそれが出来たか?それは間違いなく前田遼一です。彼は本当に何でも出来るFWです(強いていうならば長いドリブルなどは出来ませんが、まあそういうチームでも無いので)。特にザックジャパンに定着するようになって以降、特に相手を背負ってボールを受ける動きや、スペースを作って他の選手に飛び込ませる動きが上手くなりました。くわえて、直前のアイスランド戦で結果も出している以上、前田を使うのが適当ですし、ゲームプランの面でもそれは間違いない選択だったと思うのですが・・・。
次に岡崎を見ると、彼は上手くなったとはいえ、ビルドアップの閃きというのは無いです。無いものは無いのです、それは仕方がないことで、そこを出来るようになってくれたら助かるというザックのメッセージなのかもしれないですが、そういうのはテストマッチでやるべきであって、結果の必要な場面で無理やりやらせてみることでは決して無いと思います。彼の意識はフィニッシュの瞬間に絡むことで、その為、日本代表ではフリーになりやすい、主戦場である左のファーサイド・右で虎視眈々と頭から突っ込む瞬間を狙っているのです。そういう性向の選手ですので、今直ぐにビルドアップもこなしてくださいじゃ出来ません。そして長谷部を見るとですね、彼はいま非常に苦しいと思います。ヴォルフスブルクでもなかなか出場機会に恵まれませんし、異論を承知でいいますと正直僕は日本代表において、彼を戦術的に必要不可欠な存在だとは思いません。チームが苦しい時にキャプテンシーを持って鼓舞する役割などこそは彼にしか出来ませんが、やはり現代サッカーのボランチならばもう少しゲームメイクの能力やアクセント付けの能力が高くないと存在感は発揮できません。特に遠藤に相手選手がまとわりついて来た場合、長谷部が遠藤の役割を一分代替しなければなりませんし、また本人の意識もそのようではあるみたいですが、やっぱり組み立ての専門家とは違います。それをおそらく彼自身も薄々感じているだろうというのが彼がいま迎えている苦境です。また、遠藤にかわってボールを受けたり散らしたりしないと、という意識のせいか相手の攻撃の芽を摘む潰し屋としての機能も中途半端で、傍から見て長谷場は何をするための選手なのかわからないまま90分経ってたという感じだったように思います。
確かに、高いクオリティでマルチロールをこなせる選手が今後のサッカーでは重要視される、とファーガソンが言ってた(あくまで記憶)ような気がしますし、現代サッカーは分業からゼネラリストの時代へと移行しつつあるのは間違いありませんし、日本サッカーが今後よりプレゼンスを増すために、個々の選手が市場価値を高める上でもそのような意識を持つことは大切なのかもしれませんが、繰り返しになって申し訳ありませんが、現実的に、出来ないことは出来ません。ジダンと比肩する声もちらほらあるイニエスタでさえも、シャビの仕事は出来ません。イニエスタだけじゃなく、それは名声をほしいままにするメッシでさえもそうでしょう。そういった部分に関しては、監督がどうにかしなければならない領域であるのは間違いないことなのです。
■効果性はてなのザック采配
今回のザックの采配を見ると、後半15分に藤本淳吾にかえて乾貴士を投入。続いて21分にハーフナーにかえて李忠成を投入。その後39分に負傷の長友にかえて駒野を投入、という風になっています。まあ負傷交代は仕方ないにせよ、その他の2つについては、なんとなく意味はわかるけれども、決して論理的な正着手だとは思えないということです。まず、藤本について。先では割愛しましたが、ボールを受けて中に入る傾向のある藤本は、サイドを取りたい試合においては正解だと言えるのかどうか微妙ですが、いまいちアクセントにはなりきれていませんでしたね。そしてかわって入ったのが乾。ビルドアップの能力もあるし、裏にも抜けられるし・・・ということで、チョイスとしては悪くはないと思いますが、しかしどういう指示のもとで入ったのか、下がってビルドアップする気配も、ボールを引き出す動きがまるでない。もったらもったで特攻してつっかけて終了。何をしに入ってきたのかわかりません。ちなみに、宮市を期待した方も多かったでしょうが、せめて0-0ならともかく、0-1ビハインドの後半で相手が引きこもってスペースを消し始めることが予想される以上、有効なチョイスではないと思います。で、ついでにいうと、展開的に宮市が活躍出来る状況ではなかったっていうのと同様の理由で、裏抜け専門家の李忠成もすぐに無効化されちゃいましたよ、というオチです。ウズベク側から見れば、残り時間を見ながらラインをずりずり下げて引きこもるっていうのは、これはもうゲームプランを考えると十二分に当たり前のセオリーですし、そういう予定通りのプランニングで無効化できる選手を1枚投入されても特に怖くはないでしょう。
では何が正着手か。まず岡崎を右、香川を左にしてトップ下に中村憲剛を入れる、本田不在時の定番プランに戻して左からガリガリ削ったり、そこで左に寄せておいて逆サイドに振るなどする。正直これが一番よかったのではないかと思うのですが、じゃあ何のための今までの50分間だったのか、という話になってしまって、プライド的に許されないし、迷走してる感が全面に出てしまう。だからこそ、機能していない両サイドからの崩しの形にこだわった。まさしくこれこそコンコルド錯誤だ、という感じですが、じゃあ両サイド崩しをやりたいのなら、長谷部を外して、アイスランド戦で遠藤とのコンビネーションを組み、ビルドアップの分散にある程度成功した増田誓志を投入してゲームが作れる状態に戻すところからはじめるべきだったと思います。
最後、ザック采配の一番の迷走を感じさせたのが、終了間際ロスタイムでした。当然、点を取りに行く日本としてはもう中盤を省略してロングボールでFW陣に当てるパワープレーを選択するのですが、滑稽にもその時いてほしいハーフナーは既に使用済みの状態でベンチに。決して高くはない前線が一生懸命ピョンピョン飛ぶものの普通に跳ね返されまくってるという、この光景を見て、こりゃまずいんじゃないかと心から思ったのを覚えています。
■両サイドからバランスよく仕掛けるには・・・いくつかの試案
正直なところ、攻撃が片サイドに寄るということはトップチームでもよくあることですし、逆サイド展開をうまく使いながらやればそれでいいとは思うんですが、どうしても両サイドからのバランス良い攻撃がしたいのならば、ということでいくつか試案を作ってみました。割と極端な仕様にしてあるので、「~を使わないなんて!」というツッコミは勘弁してください。ネームバリューとか、アナログなチーム作りの面は一切無視して、先述として機能させることだけを主眼においた試案に過ぎませんので。
まずこちらが試案1。4-2-3-1維持型です。ビルドアップ能力の高い選手を集めました。増田の所は、柏レイソルでボランチをやっている茨田なども適任かもしれませんし、今後の成長次第ではU-23の扇原や、はたまた柴崎岳なんかも面白いと思います。誰にせよ、散らしを遠藤経由のみならず両ボランチから行えるよう配慮しています。また、ボールを収める能力にも長け、かつゴール前で違いを作り出せる前田・本田を鉄板ラインとしつつ、酒井や槙野のオーバーラップで厚みのあるサイド攻撃が展開出来るのではないかと思います。
以上になりましたが、これが私の試案です。ちょうど数日前、ザッケローニがACL予選で闘莉王を視察か!?なんて記事が出ていましたが、本当に闘莉王がレギュラー定着したとすれば面白いですね。
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